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閑話休題|日本とオーストラリア、不動産の「評価」の違いから考えること

不動産コラム




不動産の仕事をしていると、
国が違えば「当たり前」がまったく違うことに驚かされる場面があります。

今日は少し肩の力を抜いて、
**日本とオーストラリアの「中古戸建の評価の違い」**について、雑談的に書いてみたいと思います。


オーストラリアでは、築100年でも「評価される家」

オーストラリアでは、
築80年、100年といった住宅が、今も普通に住まれ、売買されています。

日本の感覚だと
「そんな古い家、本当に住めるの?」
と思ってしまうような物件でも、

  • 土地

  • 建物(状態次第ではしっかり評価)

このセットで価格がつくのが一般的です。

もちろん、建物の状態は重要です。
だからこそオーストラリアでは、
売買の際に**ビルディング・インスペクション(建物検査)**が当たり前に行われます。

「古いか、新しいか」よりも、
「今どういう状態か」「これからどれくらい使えるか」
が評価の中心にある、という印象です。


日本では、30年を超えると「建物ゼロ円」?

一方、日本ではどうでしょうか。

築30年、40年を超えると、
多くの戸建住宅は建物の評価がほぼゼロになり、
「土地値のみ」で取引されるケースが少なくありません。

これは日本の住宅が「消耗品」として扱われてきた歴史や、
税制・金融・建築制度など、さまざまな背景があります。

ただ、
実際にはまだ十分住める家
きちんと手を入れれば価値を保てる家
も多く存在します。

それでも「古い=価値がない」という評価になってしまう。
ここに、日本の中古住宅市場が長年抱えてきた歪みがあります。


日本でも、少しずつ変わり始めている

こうした状況を受けて、
国土交通省も中古住宅市場の活性化に向けて動き始めています。

たとえば、

  • インスペクション(建物状況調査)の普及

  • 既存住宅の情報開示の強化

  • リフォーム・リノベーション前提での流通促進

などが進められています。

「築年数」だけで一律に評価するのではなく、
建物の状態や管理状況をきちんと見て判断する
そんな流れが、少しずつですが確実に生まれています。


空き家問題とも、実は深くつながっている

この評価の問題は、
日本各地で深刻化している空き家問題とも密接に関係しています。

本来であれば、

  • 適切に評価され

  • 必要な情報が整理され

  • 次の使い手にきちんと伝えられれば

流通できたかもしれない家が、
「よく分からないから」「価値がないと思われているから」
という理由で放置されてしまう。

評価の仕組みと情報発信の在り方が変わることで、
この問題の見え方も、少しずつ変わっていくはずです。


日本だけの物差しで、考え続けないという選択

オーストラリアが正解で、日本が間違っている、
そんな単純な話ではありません。

ただ、
日本だけの価値観・日本だけの評価軸で考え続ける必要はない
そう思う場面は、年々増えています。

これからの不動産取引では、

  • 正しく評価し

  • 正しく整理し

  • 正しく伝える

この積み重ねが、
公正で、納得感のある取引につながっていくのだと思います。


今日は少し視点を外した「閑話休題」でしたが、
来週からはまた、実際の売却事例を通して
こうした話がどう現実に影響するのかを、具体的にお伝えしていく予定です。

日曜日のコーヒーのお供に、
気軽に読んでいただけていたら嬉しいです。



不動産の価値や売却について、
「まだ具体的に決めていない段階」でも大丈夫です。
気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

▶ご相談はこちらから




====English Version====

A Sunday Thought: How Property Value Is Viewed Differently in Japan and Australia


One of the interesting things about working in real estate is realizing how differently “value” is defined depending on the country.


In Australia, it’s not unusual for houses over 80 or even 100 years old to be actively traded. Land and building are evaluated together, and inspections play a key role in understanding a property’s true condition.


In Japan, however, houses over 30 years old are often valued mainly for the land, with the building itself considered to have little or no value.


This difference isn’t about right or wrong. It reflects history, systems, and long-standing assumptions.
But things in Japan are slowly beginning to change—through inspections, better disclosure, and renewed attention to existing homes.


As discussions around vacant houses and fair transactions grow, how we evaluate and communicate property value will become increasingly important.


Sometimes, stepping outside a single country’s perspective helps us see real estate more clearly.
Just a small Sunday reflection, before we return to real examples next week.

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